インサイドセールスに関する疑問にお応えします。
Q:マーケティング部門がありません
今まで営業部門が顧客対応の全てを担ってきたので、マーケティングの独立組織は存在しなかった。
ひとことでマーケティングといっても範囲が広いので、まず顧客とのコンタクトに必要なマーケティング機能についてご紹介します。
顧客コンタクトのための機能
新規リード顧客:(展示会・セミナー名刺情報、Webinar、ホームページからの資料請求、問合わせ等)
既存リード顧客:(社内営業担当者からの顧客移管)
・顧客分類・ターゲット戦略
・見込客管理
・予算作成、進捗管理
・顧客DB運用、メンテナンス
・パンフレット、リーフレット等の説明資料作成、コンテンツ管理
・ルールや規定の整備、運用
少し考えただけでもマーケティングの守備範囲はかなり広いように思います。
これまでマーケティング部門を持たなかったといってもこのような内容の仕事を営業部門の中で行ってきていると思います。
インサイドセールスを構築するにあたり、同時にマーケティング機能の整備を行い、その役割や責任体制を明確化することも重要な効果であると考えています。
一機に切り替えるとはいかないと思いますので計画的に体制整備を図っていきましょう。
Q:新規顧客開拓は難しいけど
■新規開拓に於けるリード情報の収集は
・展示会での名刺交換情報
・ホームページへの資料請求アクセス
・業種別企業公開リスト
■コンタクトが難しい点
・売込みだと思われ敬遠されることがある
・情報不足でコンタクト内容が手探り
(情報:担当者名、役職、現状の利用環境、課題、ニーズ、買替え時期)
・関係強化するために時間がかかる
・他の顧客を優先する
・リード情報取得にコストを要する
・自社商品・サービスが認識されていない
このような難しい点をクリアできれば新規開拓の確率が上がります。
Q:顧客ロイヤルティの向上が必要だ
ロイヤルティとロイヤリティは似ている言葉で使い方を間違えそうですが、「ロイヤリティ」はRoyaltyのことで著作権や商標権などの権利の使用に使う言葉です。
「顧客ロイヤルティ」(Loyalty)とは、顧客が特定の企業、製品、サービスに対して信頼感を抱き、誠実に再購入、再利用、さらに推奨をしてくれる状態のことです。
要するに企業と顧客の相互信頼関係を築くことです。
そのために、企業には顧客の立場に立った誠実さが求められ、提供する製品サービスはもちろんのこと、企業理念、社員の行動・接客態度を充実させ、社会的責任を果たすことで相互の信頼関係の構築を図るというものです。
国際的な企業間競争の激化、商品サービスのコモディティ化を背景に今日では顧客ロイヤルティ経営が推奨され、顧客維持、客離れゼロ、顧客生涯価値向上を経営の柱に置くようになってきています。
インサイドセールスの活動としても重要な考え方であると考えます。
Q:アプローチツールは何を準備すればいいの
効率よく、スムーズに顧客コンタクトするためアプローチツールを準備しておきます。
<初回コンタクトツール>
・自己紹介プロフィールシート(メール送信用、FAX送信用)
できればメールにて案内するようにします。メールアドレスを入手することでオプトインの了解を得やすくなり、次回からメールでの案内ができるようになります。
*オプトインとは、ユーザーに宣伝広告を配信する際、事前に許可を求めること。また、宣伝広告の受け取りを、ユーザーが許可する意思を示すこと。
*顧客DBにはオプトイン日付、オプトアウト日付を管理できるようにします。
FAXをする場合
FAX番号を手入力する場合は、立ち合い人の確認のもと行うことをルール化するなど誤送信の無いよう十分注意を払う仕組みをつくりましょう。
PCで直接FAXする場合は、アドレス帳のメンテナンスが正確にされているのかがリスクになりますので十分注意をして送信するようにしてください。
<定期コンタクトツール>。
・各種情報を提供する為のコンテンツを準備しておきます。
一人で作成するのは大変なものです。メンバーそれぞれが作成して分類して保管できるような共有ファイル(データベース)を準備しましょう。
定期的なミーティングを設定し、内容を共有する機会をつくることもいい取組みであると考えます。
内容は、法的な情報、商品機能情報、地域別のトピックス、公開していい導入事例、業種別の対応事例などを統一フォーマットに記入し、各自が編集できる状態で保管します。
どんなコンテンツが使われているのかなどの分析データを準備して人気コンテンツを自分でも使ってみてはいかがでしょうか?
私はこの情報データベースを「コンテンツポートフォリオ」と呼んで推進していました。
Q:営業がフォローしてくれないことがありますか
せっかくの情報なのにフィールドセールスのフォローがないケースがあります。
●インサイドセールス担当者名を見てフォローしないケース
質の悪い情報ばかりを出していると営業部の中では「あいつの情報は当てにならない」と烙印を押されてしまっている担当者の情報はフォローしません。
インサイドセールス側で情報提供の決裁ワークフローを設けるなど情報の質を担保する仕組みを創る必要があります。
両組織で気持ちよく仕事ができるよう相手のことを思いやりましょう。顧客に迷惑をかけないように!
●営業の繁忙期に案件情報が重なってしまっているケース
営業をやっていると繁忙期があるものです。ちょうどそんな時期に案件情報が重なってしまうと営業対応が後回しになることがあります。
予め繁忙期の情報をお互いの組織で共有し、情報提供と営業対応の適切なタイミングを把握する体制を整備します。このことで顧客に迷惑をかけないようにしましょう。
Q:顧客との関係をどうやって計るの
関係を図る基準を創り、顧客の分類を行い管理します。
●必要なヒアリング項目を設け、その進捗状況で顧客を分類します。・・・Stage管理
関係が良好でなければただ質問をしただけでは顧客は話をしてくれません。話をしてくれる関係、環境を整えながら少しづつ関係強化を図っていきます。基準の管理項目に関しては、会社独自で話しながら決めていきましょう。
●インサイドセールスの架電対応で感じとる顧客の状態で管理します。
例えば、
決裁者に対して意見・提案・稟議をあげる担当者
自分で考えて周りを引き込んで仕事を進める担当者
課題解決のプランを持ちながら補完する部分などに関して意見を求めてくる担当者
逆に、いつも愛想良く対応してくれるが内容に具体性が感じられない「はいはい顧客」
自分の暇つぶしに会話に付き合っているような顧客
自分個人の課題を相談することに終始する顧客
●ありがとうを管理する
私の経験ですが、顧客担当者向けに宿題を返したり、新たな情報を提供したり、機器の操作を教えたりした場合、お客様から「ありがとう」と言っていただけるケースがあります。その内容をマネージャーに報告して承認されれば「ありがとう」のカウントを行い管理していました。
この「ありがとう」は、顧客との関係を計る数的基準であると同時にインサイドセールスメンバーのスキル向上の指標としても活用できるものでした。
このように会社独自で管理指標を設けていくのも楽しいものです。
Q:リード顧客をどのように提供するのか
通常マーケティング部門が担当するリード顧客の提供ですが、小規模企業や部門の営業部ではマーケティング部門を持たないケースも多いかと思います。
しかしながら、リード顧客がないとプロセスが進みません。そこでリード顧客をどのように提供するのかについてご紹介します。
■社内既存顧客を共有する
社内で保有する名刺情報の営業部門からの提供・・・オプトインによりコンタクトメールが送信できる、架電が可能になる。
■販売店・取引先からの顧客情報(BtoBtoB取引の場合)
販売店からの有力リード顧客情報を活用する・・・事前に商品学習会等を充実させ情報が提供しやすい環境を創る。リード顧客というより一歩進んだ案件情報となるのでタイムリーな対応が求められる。
■ランディングページからのアクセス情報
Webキーワード検索、広告・メールによる誘導、ダウンロードなど情報収集のためにランディングページへアクセスしてきた顧客登録情報やクッキー情報からリード顧客情報を生成する。
■外注によるリード顧客購入
ターゲットを指定して外注業者の持つ顧客リストを購入する方法、架電やメールのコンタクトで案件情報まで提供する業者もあるが、高額であることや自社にノウハウが蓄積できないこと、顧客との関係が薄いなどのデメリットがある。
*オプトイン・・・顧客に宣伝広告を配信する際に事前に許可を求めること、顧客が許可する意思表示をすること
*ランディングページ・・・縦長のWEBページレイアウトで訪問者のアクションを誘導することに特化したWEBページのこと